[PR]
朝ゼロinジェレ誕~お誘い編~前編
朝ゼロ(ルル)inジェレ誕のお誘い編です。
R2設定。
朝比奈のみゼロバレ、皇族バレ済みで、実は付き合ってる設定。
騎士団にはバレてません。
ジェレミアが騎士団入りしてますが、時間軸がちょっとおかしいかもしれないのはスルーの方向でお願いします。
長くなってしまったので、文字数制限の関係で前後で分けました。
ジェレ誕なのにお誘い編はジェレミア名前しか出てきません。
朝ゼロがひたすらイチャラブしてます。
普段より糖度高めで甘い…かも?
それでもOKの方のみ、続きからどうぞー♪
仄かに擽るように甘い、優しい香り。
レジスタンスの首領になんて酷く似合わないそれは、なんてあの子に相応しいのだろう。
少し弾むように機嫌良く目の前の五十音順に並んだラベルを辿る指先を、細めた視線が追っていく。
口ずさんだ鼻唄は記憶が正しいのならば懐かしき、過去の名も知らぬ民謡だっただろうか。
資料室独特の紙の匂いに混じるのは、真新しい印刷物のインクの香り。
資料とはいっても、何もあるのは印刷物だけではない。
ディスク管理されているもの一枚とっても、黒の騎士団内で管理されているその情報量は膨大だ。
この場にあるデータは、エリア11の資料室と同等かそれ以上の質だと朝比奈は思っている。
何せこの部屋を満たすデータの最終的管理は、あのゼロなのだから。
「えーっと、あのパーツ資料は、と」
ナイトメアの調べ物は嫌いではない。
だってこれはいつだって、あの子を護る直接の力になれる。
少し前は違う理由が主だったのに、今ではすっかりその目的は変化を遂げて。
毎日こなす作業全て、その為だけに綴られていく日常。
鮮やかに姿を変え、形を変えていく日々の、なんと色鮮やかな事だろう。
ただ一つ、今最も大切だと断言できる最愛を思い浮かべて自然と口元が緩く弧を描くのを抑える気はない。
不意に鼓膜を響かせた小さく軽い靴音に、ラベルを綴る指先はピタリと無言で動きを止めて。
「―――…朝比、奈?」
そっと、ためらいがちに呼ばれた名は疑問系ではあったけれど。
きっと、確信があった。
だってその囁きは、自分だけに響く音。
微かに載せられた甘さに、年相応の幼さの見え隠れする音が鼓膜を擽って。
波紋のように全身へ広がる甘美な響きに、深まる笑みは歓喜のそれ。
きょろきょろと周囲を見回す独特の仮面が棚の隙間から垣間見えて。
「ん。こっちだよ、ゼロ」
ひょこっと棚の隙間から顔を覗かせてひらひらと手を振ってみせた。
動いた影に気付いた仮面が、こちらを向いた。
その瞬間視線が絡み合った、と感じたのはきっと朝比奈の錯覚ではないだろう。
視線が朝比奈を捉える。
同時にゼロの雰囲気がふわりと柔らかに温かくなって。
ドキリ、と一音高く朝比奈の鼓動は跳ね上がった。
日溜まりのような温かさが鼓膜を震わす声までも鮮やかに染め上げて。
「朝比奈、そこに居たのか」
目的の人を見つけたゼロは嬉しそうな空気をそのままに、とことこと幾分軽い足取りで近付いてくる。
その姿は懐いた子猫のようで、普段のゼロを知る者が見たらきっとその様子の違いに目を疑った事だろう。
機嫌良くゆらゆらと揺れる猫尻尾ですら幻覚で見えそうなほどの上機嫌で。
それは、朝比奈だけが知る姿。
朝比奈の唯一の、大切な愛しい人。
「何を、探しているんだ?」
「えーと。この頁の左のパーツなんだけど、今度新しく試そうかと思って」
「…あぁ、これか。これならその下から二段目の右から六冊目が詳しい」
「へぇ、…この本?」
ひょいとしゃがみ込んで示された本を抜きだすと、上から手を伸ばしたゼロが頁を丁寧に捲っていく。
黒い手袋に包まれた細く美しい指先がゆらゆらと動く度に、朝比奈はつられてそれに意識を奪われて。
「此処の、ほら、これだ」
「……ふぅん、どれ…?」
とんとん、と指先が頁を埋め尽くす文字列の一部を指差す音で我に帰る。
そのままほっそりとした手首から腕を辿って、その頭上で少し傾いたあの仮面を見つめ返すと、ゼロは小首を傾げて近くで朝比奈を覗き込んだ。
「此処だ、この個所」
「ふーん……うん。そっか、成程」
示された項目に目を通し、期待以上の探していた情報に満足げに頷いた。
次いで視線を斜め上に戻せば、少し下向いた仮面が小さく首を傾げつつ、こちらをそっと伺っていて。
少しの期待と、少しの不安。
それはまるで褒めてもらうのを待つ子供のように。
「ありがとう、ゼロ」
「これで問題無かったか?」
「うんっ、満足だよ♪」
にっこりと嬉しそうに笑ってみせれば、そうか、と仮面は正面へ向き直る。
彼の纏う雰囲気がふわりと柔らかで嬉しげになった。
変化は些細であったけれど。
黙ってしまった仮面をそのまま笑顔で見守れば、今度は少し外方を向いたまま同じくその場にしゃがみ込んだ。
ちょこん、と足を抱えるように隣に身を寄せるゼロはまるで小動物のような可愛らしさで、思わず朝比奈が胸を高鳴らせた事など、勿論気付く筈もなく。
仮面に伸ばされたゼロの指が、数回の機械音の後にその仮面をずらすようにして外していく。
緩みそうな口元を仮面で隠し、少し上目遣いになった目許は、想像通り少し照れたように仄かな朱に彩られ。
ほんの少し恥ずかしさに潤んだ瞳で、恐る恐る朝比奈を見上げる。
「別に、大した事じゃない」
少し不機嫌を繕ったその表情は、どうにか相手を睨む事で必死に今にも反らしてしまいそうな焦点を合わせてみせた。
まるで毛を逆立て必死に虚勢を張る子猫のような反応に、朝比奈は密かに無言で悶えかける。
「でもこの資料も、ゼロが揃えておいてくれたんでしょう?」
「ナイトメアのパーツ資料はいくら揃えても多過ぎる事は無いからな。自分でも探したい物があったから、ついでだ」
ぷいっと顔を反らしたその耳の、朱い色に耐えきれず朝比奈は笑み綻ぶ。
これは恐らく暁直参仕様にしか使用されないだろう追加パーツだ。
ゼロが扱う蜃気楼にも、他の量産機にも使う事はないだろう。
明確な嘘を堂々と口にしたゼロの不器用な照れ隠しに、朝比奈はくすくすと堪え難い笑みを零す。
途端、むっと不機嫌になったゼロがすぐ此方へと振り返った。
その表情は機嫌を損ねたというよりも、どこか不貞腐れたといった方がきっと正しいに違いない。
「何を笑っているんだ、お前は」
「だって。ゼロ、可愛い」
「っ、…男に可愛いとか、言うなッ!」
耳のみならず頬まで上気させてキッと睨み付けてくるその顔は、やはり朝比奈から見ればとても可愛いらしくて。
反射的に悶えると、我慢出来ずにその腕を引き寄せた。
ほぇぁっ、と可愛らしい奇声を上げるその白い頬に、唇を寄せてわざとらしくリップ音を立てる。
突然の口付けに固まったその顔は、次の瞬間首まで真っ赤に茹で染まって。
「―――…っっ?!!、っ!?」
「つい、我慢できなくて」
ごめんね、なんて。
なんとわざとらしい謝罪を自分は口にするのだろう。
こんなアジトの、資料室で。
総司令である己の上司、しかも男にこのような衝動を覚えるなど、以前の自分ではきっと有り得なかったに違いない。
彼を好きになって、彼と付き合い始めて、塗り替えら続ける毎日に、日々自分の心は彼だけで埋め尽くされて。
新たな彼を知る度に、この胸が高鳴る度に、会話を重ねる度に、何度でも朝比奈はこの恋人を好きになる。
自分だけの、特別。
いつだって触れたくて、抱きしめたくて、キスしたい。
一方通行だなんて、そんな事は嘘だと知っている。
過敏なこの反応と、初々しくも愛らしいその態度を見て分からないほど、朝比奈は疎くも初心でもない。
必死で素っ気ない態度を取り繕っても全身で物語る愛は、痛いほど朝比奈に伝わってきて。
足りない、なんて我儘だと理解してはいる。
けれど、時折、やっぱり少しばかり思ってしまうのだ。
こうして隣に居て求めているのは、触れたくて、抱き締めたくて、キスしてくて、一緒にいたいと願うのは……実は自分の我儘なのではないか、と。
ゼロであるルルーシュが多忙極まりない事を知っている。
本当はこんなところで、時間を無駄に使うのは得策ではない。
無駄を嫌う彼が本当は甘んじてこの場に居てくれているのではないかと。
らしくもなく、不安になる。
R2設定。
朝比奈のみゼロバレ、皇族バレ済みで、実は付き合ってる設定。
騎士団にはバレてません。
ジェレミアが騎士団入りしてますが、時間軸がちょっとおかしいかもしれないのはスルーの方向でお願いします。
長くなってしまったので、文字数制限の関係で前後で分けました。
ジェレ誕なのにお誘い編はジェレミア名前しか出てきません。
朝ゼロがひたすらイチャラブしてます。
普段より糖度高めで甘い…かも?
それでもOKの方のみ、続きからどうぞー♪
仄かに擽るように甘い、優しい香り。
レジスタンスの首領になんて酷く似合わないそれは、なんてあの子に相応しいのだろう。
少し弾むように機嫌良く目の前の五十音順に並んだラベルを辿る指先を、細めた視線が追っていく。
口ずさんだ鼻唄は記憶が正しいのならば懐かしき、過去の名も知らぬ民謡だっただろうか。
資料室独特の紙の匂いに混じるのは、真新しい印刷物のインクの香り。
資料とはいっても、何もあるのは印刷物だけではない。
ディスク管理されているもの一枚とっても、黒の騎士団内で管理されているその情報量は膨大だ。
この場にあるデータは、エリア11の資料室と同等かそれ以上の質だと朝比奈は思っている。
何せこの部屋を満たすデータの最終的管理は、あのゼロなのだから。
「えーっと、あのパーツ資料は、と」
ナイトメアの調べ物は嫌いではない。
だってこれはいつだって、あの子を護る直接の力になれる。
少し前は違う理由が主だったのに、今ではすっかりその目的は変化を遂げて。
毎日こなす作業全て、その為だけに綴られていく日常。
鮮やかに姿を変え、形を変えていく日々の、なんと色鮮やかな事だろう。
ただ一つ、今最も大切だと断言できる最愛を思い浮かべて自然と口元が緩く弧を描くのを抑える気はない。
不意に鼓膜を響かせた小さく軽い靴音に、ラベルを綴る指先はピタリと無言で動きを止めて。
「―――…朝比、奈?」
そっと、ためらいがちに呼ばれた名は疑問系ではあったけれど。
きっと、確信があった。
だってその囁きは、自分だけに響く音。
微かに載せられた甘さに、年相応の幼さの見え隠れする音が鼓膜を擽って。
波紋のように全身へ広がる甘美な響きに、深まる笑みは歓喜のそれ。
きょろきょろと周囲を見回す独特の仮面が棚の隙間から垣間見えて。
「ん。こっちだよ、ゼロ」
ひょこっと棚の隙間から顔を覗かせてひらひらと手を振ってみせた。
動いた影に気付いた仮面が、こちらを向いた。
その瞬間視線が絡み合った、と感じたのはきっと朝比奈の錯覚ではないだろう。
視線が朝比奈を捉える。
同時にゼロの雰囲気がふわりと柔らかに温かくなって。
ドキリ、と一音高く朝比奈の鼓動は跳ね上がった。
日溜まりのような温かさが鼓膜を震わす声までも鮮やかに染め上げて。
「朝比奈、そこに居たのか」
目的の人を見つけたゼロは嬉しそうな空気をそのままに、とことこと幾分軽い足取りで近付いてくる。
その姿は懐いた子猫のようで、普段のゼロを知る者が見たらきっとその様子の違いに目を疑った事だろう。
機嫌良くゆらゆらと揺れる猫尻尾ですら幻覚で見えそうなほどの上機嫌で。
それは、朝比奈だけが知る姿。
朝比奈の唯一の、大切な愛しい人。
「何を、探しているんだ?」
「えーと。この頁の左のパーツなんだけど、今度新しく試そうかと思って」
「…あぁ、これか。これならその下から二段目の右から六冊目が詳しい」
「へぇ、…この本?」
ひょいとしゃがみ込んで示された本を抜きだすと、上から手を伸ばしたゼロが頁を丁寧に捲っていく。
黒い手袋に包まれた細く美しい指先がゆらゆらと動く度に、朝比奈はつられてそれに意識を奪われて。
「此処の、ほら、これだ」
「……ふぅん、どれ…?」
とんとん、と指先が頁を埋め尽くす文字列の一部を指差す音で我に帰る。
そのままほっそりとした手首から腕を辿って、その頭上で少し傾いたあの仮面を見つめ返すと、ゼロは小首を傾げて近くで朝比奈を覗き込んだ。
「此処だ、この個所」
「ふーん……うん。そっか、成程」
示された項目に目を通し、期待以上の探していた情報に満足げに頷いた。
次いで視線を斜め上に戻せば、少し下向いた仮面が小さく首を傾げつつ、こちらをそっと伺っていて。
少しの期待と、少しの不安。
それはまるで褒めてもらうのを待つ子供のように。
「ありがとう、ゼロ」
「これで問題無かったか?」
「うんっ、満足だよ♪」
にっこりと嬉しそうに笑ってみせれば、そうか、と仮面は正面へ向き直る。
彼の纏う雰囲気がふわりと柔らかで嬉しげになった。
変化は些細であったけれど。
黙ってしまった仮面をそのまま笑顔で見守れば、今度は少し外方を向いたまま同じくその場にしゃがみ込んだ。
ちょこん、と足を抱えるように隣に身を寄せるゼロはまるで小動物のような可愛らしさで、思わず朝比奈が胸を高鳴らせた事など、勿論気付く筈もなく。
仮面に伸ばされたゼロの指が、数回の機械音の後にその仮面をずらすようにして外していく。
緩みそうな口元を仮面で隠し、少し上目遣いになった目許は、想像通り少し照れたように仄かな朱に彩られ。
ほんの少し恥ずかしさに潤んだ瞳で、恐る恐る朝比奈を見上げる。
「別に、大した事じゃない」
少し不機嫌を繕ったその表情は、どうにか相手を睨む事で必死に今にも反らしてしまいそうな焦点を合わせてみせた。
まるで毛を逆立て必死に虚勢を張る子猫のような反応に、朝比奈は密かに無言で悶えかける。
「でもこの資料も、ゼロが揃えておいてくれたんでしょう?」
「ナイトメアのパーツ資料はいくら揃えても多過ぎる事は無いからな。自分でも探したい物があったから、ついでだ」
ぷいっと顔を反らしたその耳の、朱い色に耐えきれず朝比奈は笑み綻ぶ。
これは恐らく暁直参仕様にしか使用されないだろう追加パーツだ。
ゼロが扱う蜃気楼にも、他の量産機にも使う事はないだろう。
明確な嘘を堂々と口にしたゼロの不器用な照れ隠しに、朝比奈はくすくすと堪え難い笑みを零す。
途端、むっと不機嫌になったゼロがすぐ此方へと振り返った。
その表情は機嫌を損ねたというよりも、どこか不貞腐れたといった方がきっと正しいに違いない。
「何を笑っているんだ、お前は」
「だって。ゼロ、可愛い」
「っ、…男に可愛いとか、言うなッ!」
耳のみならず頬まで上気させてキッと睨み付けてくるその顔は、やはり朝比奈から見ればとても可愛いらしくて。
反射的に悶えると、我慢出来ずにその腕を引き寄せた。
ほぇぁっ、と可愛らしい奇声を上げるその白い頬に、唇を寄せてわざとらしくリップ音を立てる。
突然の口付けに固まったその顔は、次の瞬間首まで真っ赤に茹で染まって。
「―――…っっ?!!、っ!?」
「つい、我慢できなくて」
ごめんね、なんて。
なんとわざとらしい謝罪を自分は口にするのだろう。
こんなアジトの、資料室で。
総司令である己の上司、しかも男にこのような衝動を覚えるなど、以前の自分ではきっと有り得なかったに違いない。
彼を好きになって、彼と付き合い始めて、塗り替えら続ける毎日に、日々自分の心は彼だけで埋め尽くされて。
新たな彼を知る度に、この胸が高鳴る度に、会話を重ねる度に、何度でも朝比奈はこの恋人を好きになる。
自分だけの、特別。
いつだって触れたくて、抱きしめたくて、キスしたい。
一方通行だなんて、そんな事は嘘だと知っている。
過敏なこの反応と、初々しくも愛らしいその態度を見て分からないほど、朝比奈は疎くも初心でもない。
必死で素っ気ない態度を取り繕っても全身で物語る愛は、痛いほど朝比奈に伝わってきて。
足りない、なんて我儘だと理解してはいる。
けれど、時折、やっぱり少しばかり思ってしまうのだ。
こうして隣に居て求めているのは、触れたくて、抱き締めたくて、キスしてくて、一緒にいたいと願うのは……実は自分の我儘なのではないか、と。
ゼロであるルルーシュが多忙極まりない事を知っている。
本当はこんなところで、時間を無駄に使うのは得策ではない。
無駄を嫌う彼が本当は甘んじてこの場に居てくれているのではないかと。
らしくもなく、不安になる。
PR
- トラックバックURLはこちら