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GLASS Fermata

基本、朝ルル中心、in騎士団なルル受ギアス小説サイト。詳しくは【First】をご覧下さい。日常的呟きとか、考察とか、ヨロヅにイラストとか付いたりするかも。
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  • 11/21/22:56

朝ゼロinジェレ誕~お誘い編~後編

朝ゼロ(ルル)inジェレ誕のお誘い編です。
後編です。


なんかぐだぐだでイチャついて続きました。
すみません!

それでもよろしい方はどうぞー!

 


この存在が好きだからこそ心配になるのだと言い訳しても、陰は消えなくて。

困ったように苦笑いを浮かべた朝比奈に、ゼロは少し視線を彷徨わせると急にその襟首を掴んで引き寄せた。

ガクンッと引かれて傾く首とともにアップになった顔の、眉間の皺がギュッと刻まれて。



「えっ、と、……っ!?」



噛み付くように突如塞がれた唇に、朝比奈はしばし瞠目する。

歯列を舐め無防備だった咥内で少し深く絡められた舌の感触は、実感した次の瞬間突き飛ばすように胸を押される事で意識を取り戻す。



「―――…っン……この程度で、そんな顔、っするな!」



必死だったのだろう。
既に少し息の切れたその口唇から零れる吐息は、どこか甘く。

未だ襟首を掴む指は、己の行いに対し酷い羞恥に震えていて。

その姿が妙に扇情的な色香を匂わせるので、近過ぎる距離でそれを直視してしまった朝比奈は、そんなゼロを茫然と見つめ返す。



「いっ嫌だったらっ、こんな事っ、俺は甘受などしないッ!」



恥ずかしさに涙すら浮かぶその紫の双眸で睨むように見つめられれば、朝比奈には降参するしか道はなかった。

破顔して、だらしなく緩む頬はどこまでも幸せそのもので。
仮面を被ろうと向けられたその背に腕を伸ばし、思いっきり抱き寄せる。



「っ、朝比奈」
「待って。俺が、悪かったから」



腕に閉じ込めた身体の僅かな抵抗は、すぐに擦り寄ってきた温もりに簡単に意味を無くし。
抱き締める為に回された腕をぎゅっと掴んで、最後の抵抗に小さく唸る。

その頬の熱は、増すばかり。



「ごめんね、ゼロ」
「……謝るな」
「好き。ゼロ、…大好きだよ」



寄せた口唇で吹き込むように耳元で囁けば、背ける事を許されないその顔が耐え難いとでも言わんばかりにぎゅうっと綺麗な瞳を閉ざす。

ふるふると震えるその身体に、僅かな可虐心までも刺激されて。



「……ルルーシュ、愛してる」
「っ…、」



その言葉は、声は卑怯だ、とルルーシュは思った。

弱い耳へ吹き込まれた吐息とともに告げられた音は、背筋を伝い身体中に甘い痺れを呼び起こして。

詰まる言葉に、先程朝比奈へ噛み付いてきた口唇までも一文字に閉ざされる。

朝比奈が首元に埋めた鼻先で擦りつけるように擦り寄れば、ぴくんっとその身体が反応を示して。



「お、まえ…」
「もう少し、駄目?」
「馬鹿、」
「ゼロのそれ、愛を感じるよね」
「っ、……勝手にしろ」



今だって人気が無いとはいえアジトの資料室で。
いつ誰が来るとも限らぬ場所でこんな体制でいる事に、何より羞恥の方が勝るのだろう。

擦れた声はどこか艶すら匂わせて、擦り寄せた鼻先で、ふわりと首筋から香る甘いその香に誘われる。



「……甘くて、良い匂い」



そこへ小さく唇を落とし、ぴくりと震えた染み一つない白い肌へ傷めない程度に歯を立てた。



「ば…ッ!?」



甘噛みしたばかりの其処をべろりと舐めれば、ビクリッと震えた肌は滲んだ汗でしょっぱいはずなのに、ゼロのそれはどこか甘い気がして。



「お菓子みたいで、美味しそうだね」
「~~~っっ!?」



くすり、と自然に零れた笑みがゼロの首筋を擽った。

ふるりと無意識に震えた肌が思わず粟立って、それすら羞恥を覚え。
そこまでが、ゼロの限界だった。

カクンッ、と力の抜けた身体を、朝比奈は予想通りとばかりに受け止めて。



「大丈夫、此処では我慢するからさ」
「っ当然、だ…!」



本気で涙目でぷるぷると震えて怒るゼロを腕に抱き、朝比奈は内心本気で理性と本能との葛藤中だった。

最愛の恋人は、己の魅力を自覚していなさ過ぎる。



「それにゼロ、さっき俺に用事あったんじゃないの?」
「それは…っ、そうだが」



でも、分かっていたならなんでこんな…とブツブツ呟くゼロの、それでも掴んで離さないその腕が、実は満更でもない事を朝比奈はきちんと理解している。

この素直ではない恋人が、決して自分からなかなか甘えられないでいる事も。

だから、いつも朝比奈ばかりが愛情表現しているように見えてしまうのだが。



「ね、さっき俺の事、探してくれてたのは……どうして?」



その問いは、確信に満ちていた。
けれど、分かっているから敢えて問うのだ。

彼の口から、言葉を強請る。



「用事があったと、さっきお前が言っていただろう」
「でもそれ、建前でしょう?プライベートなら本当は仕事の終わった後、夜でも済む事なんでしょう?」



ねぇ、どうして?
睦言のような問い掛けを、きっとゼロも分かっていた。

それは少し悔しげに潤んで睨みつけてくる瞳が何より、それを物語っていて。



「別にっ、恋人に会いたいのは何時だって…良いだろっ」



ただ、何時だって会いたくて。
触れたくて、好きだと、その声が聞きたくて。

自分だけの一方通行ではない感情に、緩む頬が笑み崩れる。

きっと今鏡で自分の顔を見るならば、ふにゃふにゃで幸せそうな顔をしているのだろう。



「うんっ、勿論。大歓迎だよ♪」



ありがとう、と。

多大な意味を込めて呟けば、抱き締める腕に触れるゼロの手の力も強まって。

ぎゅうっと返される無言の愛は、それでも何より朝比奈にとって幸せの象徴だった。

ルルーシュも幸せそうな朝比奈の温もりに捕われて、包まれて、もうきっとこの温かさから逃げられないのだろうなと思い知りながら、ポツポツと本題を話し始める。

拙く紡ぐ言の葉が生まれたばかりの音のようで、そんな腕の中の存在の可愛らしさに朝比奈は更に身を寄せた。

胸を擽る愛おしさに、艶やかな髪の小さな頭へ小さく、唇を落としながら。



「探していたのは、だな」
「うん」
「その…もうすぐジェレミアの、誕生日なんだ」
「オレンジの?」



 騎士にした、と言って先日ゼロが連れてきたオレンジことジェレミア卿の存在を朝比奈は思い出す。

なるほど、あのオレンジは確かに夏生まれっぽいかもしれない。
何よりあの忠義は時折暑苦しい。



「それで、…騎士にした事だし、何か祝ってやろうと思ってな」
「あー…、なるほどねぇ」



自分以外の為に何かしようとする恋人に、少し嫉妬しない訳でもない。
けれど誰より優しい恋人の想いを知っている朝比奈は、それを無碍にしろと言えるはずもなく。

ブリタニアより自分を取ってくれた初めての騎士の特別な日を、自ら祝おうとする恋人を微笑ましくすら思った。



「それで、何か贈り物をしたいんだが」
「あぁ、それで何を贈れば良いか俺に相談て事?」



手伝っても良いと、そう思えるくらいには。
笑顔でそれに応えようと向き直れば、しかし相手はふるりと首を振って違うとその言を否定した。



「一緒に、選んで欲しいんだ」
「それって此処で、って事?」



現在、黒の騎士団が駐在しているのは中華連邦の蓬莱島。

しかし幾ら物資豊かなこの島でも、贈り物の選定をするほど娯楽品が揃っているはずもなく。



「いや、中華連邦本土の方だ。次の週末ならお互い休みだろう。少し買いたいものもあったしな」



つまり、休みの日に二人で蓬莱島を抜け出して中華連邦本土で買い物。
プレゼントを選んで、買い物をして、少しお茶なんかもしたりして。



「それって……デートって、解釈しても良いんだよね?」



というより、紛れもなくそれはデートなのだろう。

何よりぷいっと背けられたその耳が、朱いままなのがその証拠。



「そっそう思いたいなら、思っていろ」
「…うんっ♪」



思ってるね、と。

笑って甘えるように擦り寄れば、ゼロも同じようにその細身を寄せてきて。

恥ずかしげに、でも幸せそうに細められた綺麗な紫の、なんて嬉しげな事だろう。



「抜け出すなら朝早い方が良いかな?」
「そうだな、色々とバレないよう女装でもしていくか」
「他の奴に見せるのは、ちょっと勿体無いかなぁ」
「そうか?だが、男女に見えればかえって普通だろう」



デート、なんだから。

そんな音にならない言葉が聞こえてきた気がした朝比奈は、そうだね、と嬉しそうに頷いた。

他の奴に見せるのは勿体無い。
でも、朝比奈も見たいというのも本心なのだ。

彼は何を着ても似合うけれど、女の子の格好もとびきり似合う。
可愛過ぎて逆に困る事もあるけれど。



「迎えに、行くね」
「ジェレミアにバレたら殺されるぞ」
「バレないように行くよ、大丈夫。それくらい出来るから」



あと数日、それまで再び離れるのは寂しいけれど。

その言葉が裏切られる事はきっと、無いだろう。



誓いの口付けをするように手の甲へ落とされた恋人の唇を、ゼロは嬉しそうに受け入れたのだった。





<つづく>
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