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GLASS Fermata

基本、朝ルル中心、in騎士団なルル受ギアス小説サイト。詳しくは【First】をご覧下さい。日常的呟きとか、考察とか、ヨロヅにイラストとか付いたりするかも。
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  • 04/29/07:25

Made for you!!~03


バレンタイン文、前編の続きです。
朝比奈×ルルーシュです。
朝比奈にのみゼロバレ済み。
まだ付き合ってません。
友達以上恋人未満の両片思い。
そんな二人のバレンタイン奮闘記です。
今回は頑張れひなちゃん&ルルーシュ!!な内容です。

それでもOK、大丈夫な方はどうぞ!!



SIDE:ルルーシュ


エリア11中が明日のイベントを前に浮足立っている、そんな前夜。
そのエリアで一番の巨大レジスタンスのリーダー・ゼロにしてアッシュフォード学園生徒会・麗しの副会長ルルーシュ・ランペルージは、自室で一人静かに座っていた。

それは決して寛いでいるという訳ではなく、酷く思い悩むように何処か遠くを見つめる瞳を揺るがせて。
小さく落ちるのは、溜息。
目の前にある綺麗にラッピングされた小さな箱を見つめ、眉を寄せる。
明日のイベントの事を考えていたら浮かんできたあの人の為に、思わず勢いで作ってしまったそのチョコレートは、けれど渡す口実が無く。
そもそも渡す方法も思いつかなくて。

「……第一、男から貰っても嬉しくもない、か」
「おい、ルルーシュ。お前はいったい先程から何をうじうじ悩んでいるんだ」

突然背後に気配を感じたかと思うと、馬鹿にしたような笑い声が振ってきた。
同時に真横から伸びた腕が、ルルーシュの携帯を攫っていく。

「おいっ、C.C.!それを返せ!!」
「煩い。私は腹が減っているんだ」

そう言って暗記するほど頻繁に使っている番号を入力していくと、怒ったルルーシュが椅子から立ち上がるのがC.C.の視界に入る。
ベッドまで戻ったC.C.は、その上に飛び乗ると身体を投げ出して残りの番号を打ち込んだ。

「またピザを頼むんじゃないだろうな」
「それ以外、何を食べろというんだお前は」
「そんな栄養が偏る食生活は止めろと言っているんだ」
「断る、私はC.C.だからな」

そう言って通話ボタンを押したC.C.は、次の瞬間コール音とは別に浮かんだ違う名前と雑音に眉を寄せた。

「なんだ…?」

僅差で別の相手に繋がってしまったらしいその携帯のディスプレイに浮かんだ名前をもう一度確認すると、面白いものを見たかのように眉を跳ね上げ、C.C.は喉の奥で笑う。

「おい」
「C.C.、俺の携帯で勝手にピザを頼むな」
「そんな事はどうでも良い。電話だぞ、あいつからだ」
「………何だと?」

足早に目の前まで近付いてきていたルルーシュは、目の前に突き付けられた携帯のディスプレイに表示された名前に、思わず固まった。
それでも無理矢理押しつけられた携帯を成す術もなく受け取ると、やはり間違いなく其処には【朝比奈省吾】の名が浮かんでいて。

「何だ、どうした?」
『……えーと、ゼロ?』

戸惑う相手の聞きなれた声に、更にルルーシュは困惑した。
朝比奈が自分から電話を寄越す事など滅多にある事ではない。
騎士団の緊急事態…だったら、藤堂から直接かかってくるはずだ。
自分の願望が幻聴にまで及んだのだろうか。
そんな現実逃避的な事を考えながら、声だけは平然と返していく。

「本当に朝比奈か?どうした、騎士団の用か?」
『うぅん、ちょっと私用で、だったんだけど』
「私用?」

プライベートであると告げるその声に、ルルーシュの鼓動は思わず跳ね上がった。
騎士団とは関係なく、ゼロではない、ルルーシュである自分に電話をくれたというその言葉が純粋に嬉しくてルルーシュは無意識に頬を微かな朱に染める。
受話器を握る手に、自然に力が籠ってしまった。

「プライベートで貴方から電話なんて珍しいですね、省吾さん」
『相変わらず公私混同しないんだね、ゼロは』
「まぁ……、組織のリーダーが私情を挟む訳にはいきませんから」
『うん。君のそういうところ、好きだよ』

好きだよ、と告げたその音にルルーシュは一瞬で顔にボンッと熱が上るのを感じた。
そんな、優しげな甘い声で。
彼は分かっていて言っているのだろうか。
騎士団でゼロとしての自分と接する時とはまた違った、大人の余裕すら感じる少し擦れた低い声が鼓膜を震わせて、ルルーシュは思わず赤くなった顔を手で隠す。
目の前で面白そうにニヤニヤしているC.C.を睨むと、そちらに背を向けてルルーシュは先程座っていた椅子まで戻った。
彼の声は、どうにも心臓に悪い。
咳払いで誤魔化して、さっさとルルーシュは用件を促した。

「それで、用件は何です?」
『あー、うん。ゼロって明日、時間ある?』
「えぇ、一応。明日は出来れば学校に行きたくないくらいなので。出来れば隠れていようかと思っていますから時間ならいくらでもありますが?」

むしろ明日は学校に行くと恐ろしい目に合う事は分かりきっていたので、ルルーシュは雲隠れする予定であった。
騎士団に、とも思ったが折角のイベントに組織のリーダーが顔を出しては水を差してしまって悪いだろうと思い断念していたのだが。

『じゃあ、少し会えないかな……渡したいものがあって、さ』
「渡したいもの?」


息が、止まった。

まるで自分の先程からの悩みを指摘されでもしたかのようで、ついつい視線が目の前の小さなラッピングの小箱へと向いてしまう。
彼に、渡したくて渡せないと思っていた、それ。

『駄目、かなー?』
「いえ……俺も、ちょうど省吾さんに渡したいものがありましたから」
『え?そうなの??』
「えぇ、」

そうだ。
今は友チョコとかいうものだって流行っているのだから、そんなにおかしい事でもない。
折角当日会えるのならば、それを口実に渡しても不自然ではない筈だ。
それに、もし渡せなくても…会いたい、と。
そんな特別な日にあの人に会えるのだと思うと、ルルーシュはそれだけで嬉しさに心が弾んだ。
幸せが、そのまま声音に載るようで。

「そうですね、ゲットーと租界の境目の公園でどうです?」
『うん、大丈夫だよ。じゃあ、時間は…――』


返ってきた時刻と先程告げた場所を忘れないよう紙にメモして、ルルーシュは携帯を閉じた。
暫く放心状態でいたルルーシュは、恐る恐る視線を机上へ下ろすと、目の前のメモを確認する。
やはり、夢でも幻でもなくそれは、確かな現実で。

「…どうしたらいいんだ」

期待と不安と幸せで心臓が爆発しそうだ、なんて思いながらルルーシュはずるずると椅子の背に凭れかかった。
その顔は真っ赤に染まったまま、暫く戻る様子は無かったのだった。



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