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ルル誕企画小説*02ー1
【02】は微妙~に自覚してきたようでまだ無自覚な朝比奈→ゼロ視点。
+C.C.でシリアスも入った分大幅に長くなったので、分割します!
ちなみにこの話は後ほど本編に再録するかも。
本編は、朝ゼロロイルルでゼロルル双子の初恋奮闘記の予定。
冒頭の朝比奈の真実は、後ほど【03】でルル視点を挟んだ後、【04】ゼロ視点で。
ではどうぞー!
Act.02ー1
Side:Asahina&Zero
時計をちら、と確認する。
時刻は約束の15分前。
場所は、ゲットーと租界の狭間の公園である。
そこには一人の男が、珍しく私服姿で佇んでいた。
何が珍しいのかと言えば、その男が上司や仲間の姿もなく一人で居る事と、軍服ではない私服姿でその場にいる事だ。
内心落ち着き無く待ち人を探しつつ、男…朝比奈は本日何度めかの溜息を吐く。
「何であんな約束しちゃったんだろう…」
別に嫌だとは言わないが、戸惑いはある。
何故、自分なのか、とか。
何故、素直に頷いてしまったのか、とか。
前者は不明だが、後者は明らかにその場の流れ、ノリである。
そう、決して、嫌ではなかったのだが。
期待と、普段とは違う少しの高揚と。
そんな己を静めるように、朝比奈はゆっくりと再び息を吐き。
まだ見ぬ待ち人を待ちながら事の発端である昨日の出来事を思い返していた。
* * *
「誕生日とは、いったいどのように祝えば良いものなんだ?」
昨日、突然そんな事を問われた朝比奈は、は?と間抜けな声を上げた。
一瞬冗談かとも思ったが、目の前の仮面の総司令は非常に真剣な雰囲気を発しており、彼が真面目である事が伺える。
廊下で一人でいるところを偶然ばったり出会ったゼロに、声を掛けられた。
おそらく偶然その時悩んでいて、そして偶然その場で遭遇したのが朝比奈であったのだろう。
何か言い辛そうにした後――此処では長話になるかもしれないので、部屋で。
そう言われて初めて入るゼロの私室を興味深げにキョロキョロしていた矢先の事であった。
騎士団の事かと思っていた朝比奈は、まさかのプライベートな、しかも一般常識的な疑問に思わず固まる。
「その、だな。実は来週末…あー、身内の誕生日なのだが」
相手の反応にやはり、と思いながらも歯切れの悪いながらに切り出したゼロに、朝比奈は我に返り、気付く。
あれ、もしかして今、俺ってすっごく貴重な体験してる?だって、ゼロの悩み相談、しかもプライベートっぽい??
ちょうど藤堂や他の四聖剣もキョウトに呼ばれて外出中なので、朝比奈は非常に暇だった。
むしろ、こんな面白そうな話題を棒に振るなんて勿体無い。
「身内って親、とか?」
問いかけて、朝比奈は後悔した。
瞬時にゼロの周囲の気温が下がる。
噴き出した憎悪と殺気に対し、背筋に冷たいものが伝うのを感じた。
「……いや、母は既に7年前に殺されているし、血筋上父親だというあの男など…第一、あの子らに捨て駒にし、更には子を殺そうとする奴を私は親などと決して認めはしない」
つまり、ゼロに親は存在しない。
脳内メモに、ついでに触れてはいけない内容と赤線を引きつつ朝比奈は今の発言に対し全力でスルーした。
その声に、どこか悲痛にも似たものを感じた気がしたからだが。
「そう、ですか…」
「っ、……あぁ、すまない」
「へ?別に、謝らなくても。そういう家もあるって事でしょう」
にっこり、と笑顔を浮かべ。朝比奈は気にしてなどいないと言外に伝えた。
本当は、勿論知りたい。
だって謎多き己の組織のリーダーの素性だ。
けれど、今の言葉は端々に深い闇と憎悪を匂わせて。
これは直感だが。きっと、話す事で彼は、その傷を抉る事になるのだろう。
でも、そうなった時どうにかできるほどの関係はまだ築き上げていない、と朝比奈は考えている。
聞きたい、でも、まだ早い。
実際まだそこまで踏み込んで良いほど互いの関係は、深いものではないだろう。
ならば、できれば今はまだ聞き出す事はしたくない。
話してくれる時が信頼された時だろうから。
そう結論付けると朝比奈は、少し話題を逸らす事にした。
.
+C.C.でシリアスも入った分大幅に長くなったので、分割します!
ちなみにこの話は後ほど本編に再録するかも。
本編は、朝ゼロロイルルでゼロルル双子の初恋奮闘記の予定。
冒頭の朝比奈の真実は、後ほど【03】でルル視点を挟んだ後、【04】ゼロ視点で。
ではどうぞー!
Act.02ー1
Side:Asahina&Zero
時計をちら、と確認する。
時刻は約束の15分前。
場所は、ゲットーと租界の狭間の公園である。
そこには一人の男が、珍しく私服姿で佇んでいた。
何が珍しいのかと言えば、その男が上司や仲間の姿もなく一人で居る事と、軍服ではない私服姿でその場にいる事だ。
内心落ち着き無く待ち人を探しつつ、男…朝比奈は本日何度めかの溜息を吐く。
「何であんな約束しちゃったんだろう…」
別に嫌だとは言わないが、戸惑いはある。
何故、自分なのか、とか。
何故、素直に頷いてしまったのか、とか。
前者は不明だが、後者は明らかにその場の流れ、ノリである。
そう、決して、嫌ではなかったのだが。
期待と、普段とは違う少しの高揚と。
そんな己を静めるように、朝比奈はゆっくりと再び息を吐き。
まだ見ぬ待ち人を待ちながら事の発端である昨日の出来事を思い返していた。
* * *
「誕生日とは、いったいどのように祝えば良いものなんだ?」
昨日、突然そんな事を問われた朝比奈は、は?と間抜けな声を上げた。
一瞬冗談かとも思ったが、目の前の仮面の総司令は非常に真剣な雰囲気を発しており、彼が真面目である事が伺える。
廊下で一人でいるところを偶然ばったり出会ったゼロに、声を掛けられた。
おそらく偶然その時悩んでいて、そして偶然その場で遭遇したのが朝比奈であったのだろう。
何か言い辛そうにした後――此処では長話になるかもしれないので、部屋で。
そう言われて初めて入るゼロの私室を興味深げにキョロキョロしていた矢先の事であった。
騎士団の事かと思っていた朝比奈は、まさかのプライベートな、しかも一般常識的な疑問に思わず固まる。
「その、だな。実は来週末…あー、身内の誕生日なのだが」
相手の反応にやはり、と思いながらも歯切れの悪いながらに切り出したゼロに、朝比奈は我に返り、気付く。
あれ、もしかして今、俺ってすっごく貴重な体験してる?だって、ゼロの悩み相談、しかもプライベートっぽい??
ちょうど藤堂や他の四聖剣もキョウトに呼ばれて外出中なので、朝比奈は非常に暇だった。
むしろ、こんな面白そうな話題を棒に振るなんて勿体無い。
「身内って親、とか?」
問いかけて、朝比奈は後悔した。
瞬時にゼロの周囲の気温が下がる。
噴き出した憎悪と殺気に対し、背筋に冷たいものが伝うのを感じた。
「……いや、母は既に7年前に殺されているし、血筋上父親だというあの男など…第一、あの子らに捨て駒にし、更には子を殺そうとする奴を私は親などと決して認めはしない」
つまり、ゼロに親は存在しない。
脳内メモに、ついでに触れてはいけない内容と赤線を引きつつ朝比奈は今の発言に対し全力でスルーした。
その声に、どこか悲痛にも似たものを感じた気がしたからだが。
「そう、ですか…」
「っ、……あぁ、すまない」
「へ?別に、謝らなくても。そういう家もあるって事でしょう」
にっこり、と笑顔を浮かべ。朝比奈は気にしてなどいないと言外に伝えた。
本当は、勿論知りたい。
だって謎多き己の組織のリーダーの素性だ。
けれど、今の言葉は端々に深い闇と憎悪を匂わせて。
これは直感だが。きっと、話す事で彼は、その傷を抉る事になるのだろう。
でも、そうなった時どうにかできるほどの関係はまだ築き上げていない、と朝比奈は考えている。
聞きたい、でも、まだ早い。
実際まだそこまで踏み込んで良いほど互いの関係は、深いものではないだろう。
ならば、できれば今はまだ聞き出す事はしたくない。
話してくれる時が信頼された時だろうから。
そう結論付けると朝比奈は、少し話題を逸らす事にした。
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