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GLASS Fermata

基本、朝ルル中心、in騎士団なルル受ギアス小説サイト。詳しくは【First】をご覧下さい。日常的呟きとか、考察とか、ヨロヅにイラストとか付いたりするかも。
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  • 11/22/11:03

弾丸Lover<前編>

ずーっと前に書いた(というか、実は1番初めに途中まで書いてみたまま放置されていた)朝ゼロです。

ありがちなドタバタコメディラブというものを書いてみたかったんだと思います。

湯上がりネタでゼロバレとか、ね。


悪ふざけとノリだけでできた代物なので本当はボツにしようかと思ったんですけれど、最後まで書いたので一応載せてみました。

しかも長かったから、また前後編。

だから本当に駄文ですが、それでも良いよー!という女神様のみ、続きを読むからどうぞー><

 




その衝撃は、まさに胸を撃ち抜かれるという形容の通りであったと後に本人は語る。

【一目惚れ】
と、いうものがこの世に本当に存在するものなのだと、その時初めて朝比奈省吾は思い知った。






弾丸Lover






その日、朝比奈は大層暇を持て余していた。

桐原公からの呼び出しという事で、藤堂は仙波と千葉だけを連れ珍しく外出中。
今現在基地には居ない。
よって敬愛なる上司から留守番という名の置いてきぼりをくらった卜部と主に朝比奈は、非常に暇を持て余していた。
まだ騎士団に加わったばかりなので、分け与えられる仕事量もさほど多くはないのだ。
特に朝比奈はその敬愛っぷり故か、興味の対象の大半に該当する藤堂の不在に心なしか落ち着かない様子で。
最初は念入りにナイトメアの整備をしたり、溜まってもいない書類の整理をしてみたり等色々試みたものの……つまり、飽きてしまったのだ。
普段は藤堂や他の四聖剣の眼もあり抑制されてはいるが、朝比奈の性格は基本的に子供っぽい。
そんな彼が上司や同僚不在のこの場で一日中、大人しくしている筈もなく。



「あれ、扇さん。ゼロはまだですか?今日はもう来るって…」
「あぁ、彼なら何か表でトラブルが発生したらしくて今日は来れる分からないそうだ」



不意に耳に飛び込んできた声は、興味の対象を探していた朝比奈には甘い蜜にしかならなかった。

黒の騎士団総司令ゼロ…正体不明の仮面の男。
体系からしてまだ若い事、日本人ではない事。
それしか情報を与えない男を詮索しないというのはこの騎士団の暗黙のルールとなっている。
普段ならば藤堂や他の四聖剣の手前あまり深く追及したり周囲を探ったりといった事はできないのだが。
今は、不在。
敢えて言うなら卜部は居るが。



「朝比奈、お前…分かってんだろうなぁ?」
「…え、何がです?」



そんな気配を察した卜部が声をかける。
すっとボケた朝比奈の反応に、軽く口端が引き攣っているのは見間違いではないだろう。
その後吐き出された溜め息が、確かにそれを物語っていた。



「一応言っとくが、中佐に迷惑掛かるような真似だけはすんじゃねぇぞ」
「大丈夫ですって。それくらい俺でも承知してます!」



そう返すと朝比奈は、まるで御許しを貰ったとでも言わんばかりに楽しげに笑う。
立ちあがって向かうのは、勿論ゼロの部屋だ。
その本人が不在の今、おそらくロックも掛かっているだろう。
が、その部屋の周辺を探るなら今しかない。

誰にも気付かれないよう意気揚揚とゼロの部屋へ行くと、念の為ノックした。



「ちょっと話があるんだけどー、ゼロ~いる~??」



適当に声をかけてみるが、予想通り部屋からは無言の沈黙のみしか返ってはこなかった。
返答が無い事から不在であろうと当たりを付け、周囲を確認するとピンポンダッシュをするような心境で恐る恐る開閉スイッチを押す。
勿論、本来ならば恐ろしく長いパスワードを入力しなければ開く事の無いそれは「偶然鍵が掛かってなければ良いな」という願望からの行動であったのだが。



「…えっ!?」



音沙汰無く周囲の部屋の探索へと踵を返す予定であった扉は、何の因果かその願望通りスライドして訪問者を歓迎した。

驚いたのは朝比奈である。

まさか本当に開くと思っていなかった朝比奈はその光景に呆然とする。
しかし、再び閉まりそうになったそれを慌てて掴むとするりと身体を滑り込ませた。
再び閉ざされた扉に背を預け、一先ず驚いた心臓を静めてみる。



「はぁ、吃驚したー……にしても、何か想像以上って言うか」



初めて入った総司令の部屋を視界に入れ、朝比奈は呆気に取られていた。

その室内はあまりにも生活感がなかった。
敢えていうならば少々ピザ臭い気もするが、これは恐らく時折みかけるあの緑髪の少女の所為だろう。C.C.…といったか、彼女はいつも見掛ける度にピザを食べていた。

きっちり整えられた書類。
棚に整理されたディスクやファイル類はラベルで分別までされている。
まるでゼロ本人の性格を現すような部屋だと思った。

不意に朝比奈は、そのソファに見慣れたマントが掛かっている事に気付いた。
続いて室内に微かに漏れ聞こえてくる水音に少し動揺する。



「まさか、ゼロ…ていうか、入浴中?」



一瞬で朝比奈は、状況を認識した。
と、同時に焦る。
この状況はまずい。

推測するに入浴中=仮面を付けてはいない。
朝比奈は、別にゼロの素顔を暴きたい訳ではない。
ただ、何かゼロに関わる事が分かれば面白いのに、と思ったに過ぎない。
言うなれば好奇心。
正しい意味で暇潰しだ。

そもそも素顔や素性については藤堂が「君が話そうと思った時に話してくれれば良い」「君が誰であろうと付いていく」と明言したほどだ。
先走って朝比奈が確認して良い事柄ではないだろう。

見つかる前にすぐ部屋を出ようとした朝比奈だった、が。



「ほわぁあああっ!?」



突如、浴室から響いた悲鳴に思わず硬直した。


(ちょっ、何その悲鳴!?)


あまりにゼロにしては似つかわしく無い可愛い悲鳴に、朝比奈は外へ脱出する機会を逃した。
次の瞬間勢い良く開いた浴室の扉に対し、反射的に振り返った朝比奈に罪は無く。
視界に飛び込んできた光景に朝比奈は呆然と目を見開くと、本当の意味で硬直してしまった。

そこには、入浴途中に飛び出してきた事の分かる格好の少年、といっても過言ではない青年が佇んでいた。
拭かれていない艶やかな黒髪から伝い落ちる雫は、その白い首筋を伝って床に染みを作り。
身体中に泡を付けた滑らかな肌は、染み一つ無い雪のような白さで……恐らくはブリタニア人なのであろうと、結論付ける。
腰に巻いたタオルの下から覗くすらりと伸びた白い足があまりに艶めかしくて目に毒だ。
動揺し戦慄かせる口唇は赤く濡れ、湯上がりの上気した頬は仄かな朱に染まっている。
雫を含んだ噎ぶような睫毛が動揺に震え、揺れる美しい紫の瞳に深い影を落としていた。
若干青褪めたその表情は恐ろしく整い、今まで見た誰よりも美しい造形をしていて。


(何この綺麗な子―っ!?)


固まったまま朝比奈は、その光景に声も出せないほど見惚れてしまった。
あまりの衝撃に、息すら詰まる。



「ししししっ、しーつー!!何処だッ?!あっ、ああ朝比奈ッ!!」
「っえ、あ…」



動揺してC.C.を探す青年は、扉の前に立つ存在に気付くとその格好のまま駆け寄ってきた。

何故己の名を知っているのか等と考える前に、己の胸の中へ飛び込んできた存在を反射的に抱きとめる。
間近で見た白い素肌は、女でも嫉妬するほどきめ細やかで。
咄嗟に触れたしっとりと濡れながらも滑らかな感触に、くらりと目眩すら覚える。
跳び付くようにその軍服を掴む彼の紫の双眸は不安と動揺に揺れ、薄ら涙すら浮かべていて。
縋るような視線を上目遣いに朝比奈へと向ける。

泣き叫ぶように言ったのは、一言。



「頼むっ、助けてくれ!あれが、浴室にッ!!」
「…は?え、…何??」
「だっ…駄目、か?頼む、今はお前しか頼れる奴は…っ!!」
「あれ……って、言うと?」



微かに震えているらしく、ぎゅうっと服を掴んでくる指先は庇護欲すら誘い。
ぷるぷると震えるその小動物のような愛らしさに精一杯の冷静さを装う朝比奈は胸を打たれる。

硬直した身体とは反比例して心臓がバクバクと早鐘を打っているのは錯覚などではない。

理性と本能の狭間でぐらぐらしている朝比奈に気付きもせず、恐る恐る青年は背後を振り返る。


その小さな悲鳴とともに指差した先を飛ぶ物体を見て、朝比奈は目を点にしたのだった。
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